親権とはなに
離婚するときに未成年の子がいるときは、離婚後にどちらが親権を行使するかということ、つまり子供の「親権者」に誰がなるかを必ず決めます。普通は離婚するとき位しか「親権」という言葉を聞くことはありませんが、実は、親権というのは本来、離婚とは直接の関係はなく、親として子供に対して行うべき権利のことなのです。
民法816条は、「成年に達しない子は、父母の親権に服する。」と定めています。この民法の定める親権の内容としては、監護・教育をする権利と義務(820条)、居所指定権(821条)、懲戒権(823条)、職業許可権(824条)、財産の管理および代表権(824条)などがあります。夫婦であるうちは、親権は夫婦が共同して行使することになっていますが、離婚するときは、両親のどちらか一方が親権を行使することになるのです。そして、離婚のときの「親権者」の争いは、実質的には、どちらが子供を引き取って同居し日常的に子供の世話をするか、という問題となって現れます。
監護・教育をする権利と義務
監護・教育をする権利と義務というのは、子供が独立した社会人としての社会性を身につけるために監督し、保護し、教育するということです。これは親の権利であると同時に義務でもあります。親がきちんと子供を育てるべきということです。
居所指定権
居所指定権とは、親が子供に対する監護・教育という任務を果たすために、親が子供が住むべき場所を指定することができるということです。ある意味、当たり前ですが、子供が大きくなって自分でどこかに居所を定めたとき、この居所指定権によって無理やり連れ戻すことは実際問題、不可能なので、意味は少ない規定の様に思います。離婚したときはこの居所指定権が親権者にあるので、普通、親権者がそのまま子供と同居して生活することになります。
懲戒権
懲戒権とは、民法に「親権を行う者は、必要な範囲内で自らその子を懲戒し、又は家庭裁判所の許可を得て、これを懲戒場に入れることかできる。」(822条)と記載されている条文のことです。しかし、この規定を根拠にして暴力を正当化することは困難なので(暴行罪や傷害罪になりうるということです)、子供に対して行き過ぎた暴力を振るうことは許されません。
職業許可権
職業許可権とは、「子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことはできない」(823条)という規定です。未成年者が第三者に雇われて働くときなどで問題となります。
財産の管理および代表権もありますが、これについては他の特別規定もありますし、子と親の利益が相反するときには例外があります。