婚姻費用における専業主婦の収入の算定方法

離婚前の夫婦が別居していると婚姻費用が問題になります。別居していても夫婦である以上は扶養義務の一つとして別居する配偶者の生活費を出す必要があるということです。
婚姻費用の金額は夫婦双方の収入で決まります。夫婦は一方が他方を生活させるというものではなく、本来、お互いに協力しあって夫婦関係や家庭を維持していくものですから当然です。家庭裁判所が作っている婚姻費用の算定表(ネット上で見ることができます)に夫婦の収入を当てはめると大体の金額が出てきます。給与収入の人と自営業の人では収入を見る欄が違いますが、算定表の左側の縦軸に婚姻費用を払う義務のある人の年収を当てはめ、表の下にある横軸に婚姻費用を請求する人の年収を当てはめます。縦軸も横軸も給与所得者と事業主とに分かれています。ここで当てはめる年収とは税引き後ではなく税金の控除等をする前の総収入の金額です。

働いている人はその前年の源泉徴収票(毎年1月にもらえる)、毎月の給与明細や自営業者の場合は確定申告書などで総収入を確認します。
では働いていない専業主婦の場合はその収入をどう考えるのでしょうか。
専業主婦は働いていない以上、給与明細はとれません。たとえ去年までは働いていたとしても過去の収入は過去のものにすぎず、婚姻費用はこれからの将来のことなので、昨年まで退職前に働いていた過去の源泉徴収票も意味がありません。
専業主婦の場合は、何も就労していない専業主婦でもパートくらいは出来るだろうということで120万円くらいの年収と調停ではみなされるのが一般的です。ただし子どもが生まれてから3歳くらいまでは働けなくても仕方ないので年収0とされるものです。その他、病気のために働けないなどの特殊事情があればそれが考慮されることはあります。
婚姻費用や養育費の金額を決める段階では、無職だったり収入が低い方が高い金額がもらえるので得になり、自分で努力して高い収入を得るほど婚姻費用や養育費が安くなり損するようにみえます。しかし、離婚後は自分が働いて生きていかなければならないのですから、長い目でみると自分がきちんと高い収入を得るこができるようにすることが一番大切だと思います。別居した直後やまだ子どもが小さいときは仕事に専念することができない場合も多いですが、早めにきちんとした仕事を見つけて高い収入を得る努力をした方が、全体的にみると結局いい結果を生むと思います。一時の損得ではなく、離婚後の人生設計を考えましょう。

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