離婚した後は名字を選択できる
離婚した場合、婚姻によって氏(名字)を変えた配偶者の氏(名字)はどうなるでしょうか。
離婚した場合、婚姻によって氏(名字)を変えた配偶者の氏(名字)は、原則として婚姻前の氏(名字)に戻ります(離婚届けだけを出すとそうなります)。
ただし、離婚するときに(正確に言うと離婚届けを役所に出すときに)、婚姻中の氏(名字)をそのまま続けて使用するか(離婚届けを出すのと同時に婚氏続称の届けを出すと、氏名は離婚前と変わらないことになります。そして新しい戸籍を作ることになります。)、婚姻前の氏(名字)に戻すかどちらかを選択することができます。もちろん婚姻で名字の変わらなかった配偶者は離婚しても名字が変わりませんのでここではふれません。
離婚するときは名字をどうするかで悩むことになります。
名字を戻すメリット・デメリット
婚姻中の名字は既に何年間も使い続けていますから、その名字で周りの人から知られていますし、その名字で働いている場合もあります。運転免許証や銀行の預金口座、クレジットカードなどもその名字で作っていたりするので、名字を変えると、そういうものの変更手続が大変です。また、離婚しても子どもの名字はそのままでは変わりませんから子どもと名字が異なってしまいます。
こういう面倒を考えると婚姻中の名字を離婚後もそのまま使い続けるのも大きな意味があります。
しかし、離婚することによって元夫との夫婦関係を絶つというのはもともとの離婚の目的の一つですから、離婚した後まで元夫の名字を使い続けることには心理的な抵抗があります。今は使い慣れた名字でも数年経ったら嫌な気持ちになるかもしれません。そのときに名字を変えるのも面倒です。
運転免許証、預金口座やクレジットカードなどの変更手続は面倒ですが、書類を用意して集中してやれば数日で終わります。離婚のときに住所も変えていると住所変更手続はしなくてはいけませんから同時に名字の変更手続をすることも可能かもしれません。
子どもの名字も同居する親と名字が違うのは不便ですが、すぐに家庭裁判所の許可を得て子どもの名字を変更することが可能です。
こういうことも考えて離婚したときは婚姻前の名字に戻す人の方が多いように思います。ただし、もちろん結婚生活が長くなればなるほど婚姻中の名字を離婚後も使い続ける人が多くなる傾向です。それは長期間使い続けたことでもうその名字が自分自身の名前になっているからでしょう。