同居のまま離婚手続きをする場合の注意

新型コロナウィルスの影響

令和2年(2020年)は新型コロナウィルスが流行を始めたため2月から自粛が始まり4月には一部の都府県に緊急事態宣言が出されました。令和5年には5類に移行して落ち着きましたがネットを通じて家で会社の仕事をする在宅ワークは定着しました。在宅ワークだと夫婦で顔を合わせている時間が増えるので対立することも増えていきます。どんなに仲のよい夫婦であっても不満は溜まっていきますし、もともと仲が悪かった夫婦ではなおさらです。このサイトを見ている人は離婚を考えている人が多いでしょうから中の悪い人との同居生活をどう乗り切るかは重要な問題です。

同居したまま離婚手続きを進める場合

配偶者と同居したまま離婚手続きを進める場合の問題を考えます。夫婦も最初は仲が悪かったわけではないので同居しているときに離婚の話は始まるものです。そして仲が悪くなり別居になって弁護士に相談するというケースはとても多いですが、同居のままで弁護士を入れて離婚の手続きを進めることもよくあります。
その場合に一番大切なことは暴力にならないかという点です。同居中の夫婦の離婚について法律相談をするときは、配偶者の経歴や性格等について聞くだけでなく暴力を振るう傾向があるかどうかを確認します。暴力についても、今までに暴力を振るったことがあるか、カーッとなると手を出してしまいそれが止められない性格なのか、それが一過性なのか、家の外ではいい顔をする人間なのか、家の外でも暴力を振るうか、子どもや親に対して暴力を振るうか、などのタイプについても聞きます。一番怖いのは普段はおとなしいけれどもキレると何をするか分からないタイプや精神的に不安定な人です。離婚したけれども別居前に同居が続いていた家族で夫が妻と幼い子供3人を包丁で殺した事件も起きています。こういう危険は未然に防ぐ必要があります。そういう情報によって同居のまま離婚手続きを進めても危険がないかどうかを判断します。そして危険がある場合は別居の準備を先に進めておくことになります。
同居のまま離婚手続きを進めても暴力の危険が予想されない場合であれば、同居のままで進めることもあります。同居のままか別居するかは当事者が最終的に判断することです。そのときは安全第一で考えましょう。自分はともかく子供に害が及ぶことは絶対に避けたいですから。
同居のまま離婚手続きを進めることになった場合は、同居生活でもできるだけ配偶者どうしが接触しないようにします。この時点では既に相当夫婦仲が悪くなっているのが普通ですので、どんなことであれ接触が暴力のきっかけになりうるので出来るだけ接触機会を減らすことが大切です。そのため、家の中での生活範囲を限定する、キッチン、風呂等の使い方を工夫するなどが必要です。これは相手話し合って決めるというよりは自然にお互いに接触しないようにしていくことで自然にルールが決まっていくことが多いです。
一緒に食べることはないにしても配偶者の食事の用意をするかどうか、米はどうするか、配偶者が買った冷蔵庫の食材をどうするか、トイレットペーパーは、洗濯洗剤はどうするか、など日常生活の細かい点がお互い不満のきっかけになりえます。「洗剤が無くなったときはいつも私が補充している。たまには向こうも買えばいいのに。」とか「私が買った食材を勝手に使ってる。」とか。一つ一つの金額はたいしたことがないのに、仲の悪い夫婦間では些細なことも大きなトラブルの元になりうるのです。
これはお互いに気をつけないとお互いのストレスがさらに増えてしまいます。離婚自体が大きな精神的ストレスなのに同居によってさらにストレスが増すのは避けたいところです。離婚するまでに半年や1年かかることは普通にあります。離婚は心の問題が大きいので短期決戦ではなく長期戦なのです。同居したままの離婚ではお互いにある程度の配慮をしないと、お互いが精神的にかえって苦しくなってしまいます。離婚の問題が発生している以上、夫婦であってもちょっと他人になりかかっているので、ここはお互いに少し他人としての気遣いをして乗り切る他ありません。

一人で悩むより弁護士に相談してください

実は、弁護士に相談することは離婚事件のストレスを減らすのにとても有効です。
一人で悩んでいても先行きが見えず不安がたまるばかりです。親に相談するのはとてもいいことですが、親によっては離婚をどうしてもやめさせようとしたり、反対に相手配偶者に対する怒りばかりになって冷静なアドバイスを期待できない人もいます。弁護士の場合は、客観的な法的アドバイスを受けることができますし、その後も判断を迫られる場面で一緒に悩み、考えることができます。また、多数の事件を扱ってきた経験に基づくアドバイスを受けることもできます。
心が不安になる最大の原因は先の見通しがつかないことです。これから先どう進んでいくのかの見通しをつけることができればあなたの不安は大きく減ります。離婚事件は長期戦なのでそれを生き抜くには今抱えている不安を少しでも減らすことです。長期戦を一緒に戦える弁護士を見つけて相談することです。