日本では協議離婚が認められているので、離婚のうちの多くは協議離婚です。しかし、国際的にみると日本の様な国が多数派ということはなく、当事者の意思だけで行う協議離婚を認めていない国もたくさんあります。キリスト教などの宗教的教義によって離婚を原則として認めない国も多くあります。そういう国の人と離婚する場合には、たとえ離婚について合意していても協議離婚の制度を利用するのではなく、裁判所の手続を利用することになります。離婚をするためには、当事者の合意だけでは駄目で、裁判所が関与した手続が行われていないと駄目な国があるのです。日本の家庭裁判所で作成された調停調書や和解調書、判決といった公的な文書を利用しなければならないのです。
そこで、離婚に同意している夫婦であっても、家庭裁判所の調停を申し立てて調停離婚を成立させてその調停調書を利用したり、家庭裁判所の裁判で離婚してその判決書を利用して、外国でも離婚の手続を行うことになります。これは外国によって違うので、まず、その外国の法律を調べる必要があります。外国人との離婚は、結婚以上に面倒な問題が多いものです。しかも、これまで説明してきたのは離婚には合意している場合です。もし、外国人が離婚に応じていないときは、離婚を裁判で認めてもらわないといけないという、さらなる大きな問題があることになります。また、その外国人である配偶者が日本にいないときは、さらに面倒です。国際裁判管轄の問題、外国に対する訴状などの送達の問題、そういう裁判をやるための形式面の問題を一つ一つクリアーしていかないと離婚もできません。