将来減収になるときと婚姻費用・養育費

夫婦が別居しているときは婚姻費用、離婚した後で養育中の子供がいる場合にはは養育費の問題が出てきます。婚姻費用も養育費もその金額は家庭裁判所が作ってネットでも公表している算定表(婚姻費用算定表と養育費算定表)の範囲内で決まります。

婚姻費用算定表・養育費算定表の見方

算定表の左端にある縦軸は、婚姻費用や養育費を支払う義務のある人(つまり子供と別居している親)の年収です。給与収入の人と自営業の人と二つに分かれています。
算定表の横軸は、婚姻費用や養育費を受け取る側の親(つまり子供と同居して実際に養育して子供の生活費を出している親)の年収です。こちらも給与収入と自営業に分かれています。
縦軸で支払い義務ある人の年収部分を見つけたら右に線を引きます。受け取る人の年収を横軸で見てそこから上に線を引きます。この2本の線が出合うあたりの金額が婚姻費用や養育費の金額になります。

基準になる年収の資料

婚姻費用や養育費を算定表で決めるときにその元となる収入は、原則として前年の収入額によります。給与所得者の場合は毎年1月に前年の源泉徴収票が送られてきますのでこれを見て前年の年収を明らかにします。または、市役所・区役所で課税証明書を取得してきます。自営業の場合は確定申告書を利用することもあります。このような書類を使って前年の年収を明らかにするのが一般的です。場合によっては毎月の給与明細を3カ月分見せることもあります。

将来の減収が確実な場合に婚姻費用・養育費を減らすことができるか?

仕事によっては前年や今年は収入が多かったけれど来年は必ず減ってしまう可能性が高い場合がでてきます。
たとえば、定年退職が決まっている、役職定年などで再雇用となり賃金支払い基準が変わってしまう、今年転職したばかりなど、前年の年収がもう参考にならないことが明らかな場合は前年の年収ではない別の資料を元にする他ありません。
こういう客観的に収入が明らかに変わってしまう場合以外は、基本的には将来の減収見込みだけで婚姻費用や養育費を引き下げるのは難しいです。これは結局、将来の収入予測を確実にできるだけの証拠があるかどうかの問題になるので、退職とか転職と同じくらい明確に収入が減ることを示す証拠がないと難しいです。
反対に来年は必ず年収が上がるはずだと主張されることもありますが、これも同様で結局は証拠を出せるかどうかにかかってくるでしょう。
婚姻費用も養育費も基本的には前年の年収がベースになっていきます。あとはコースバイケースで出すことができる証拠によって考える他ありません。