離婚のリスク(2)とメリット

離婚のその他のリスク

今回は経済的リスク以外の離婚に伴うリスク、そして離婚することのメリットについて考えてみましょう。

家族を失うリスク

これは一番大きいリスクでしょう。子供の成長を毎日見ることができなくなります。実際には仕事が忙しくて夜中に寝顔を見る程度だったかもしれませんが、子供や家族のためと思えばこそ一生懸命働けた人も多いはずです。その家族との関係が遠ざかり、あるいは無くなってしまうのは大きな衝撃になります。 子供と生活することになっても配偶者との仲が悪くなっていても、長期間、一緒に生活しているとそれなりの情がわきますし、ある程度の信頼感はまだ残っているものです。自分の家族、自分の家庭が破壊されてしまうことは大きなストレスでもあります。

社会的信用低下のリスク

現在では夫婦の3分の1が離婚する時代で(といっても数十年前からですが)、とても離婚が多いので離婚したことで直ちに信用が無くなることはないでしょう。しかし、離婚の原因が悪質な不貞行為や激しい暴力などであったりすると信用を無くしますし、以後の人間関係に支障が生じる可能性もあります。まして、それが真実ではなく間違った噂により信用を落とされては大変ですので、身近な人に対してはきちんと説明しておくほうがいいかもしれません。

離婚は大きなエネルギーが必要

多少の不満があっても慣れた生活を変えるのは大きなエネルギーが必要です。物理学に慣性の法則というものがありますが、人間の生活も外部からのエネルギーが無いとそのままの状態が続くものなのです。人間は意識しなくても自然に楽なことを選択します。昨日と同じ生活を続けることが楽なのです。不満は大きくてもある程度予測のつく生活から、どうなるか分からない未知の生活に移ることは不安が大きく、とても大きなエネルギーが必要になるのです。

また、離婚話がスムーズに進むとは限りません。離婚、親権、財産分与などでもめるときは、少なくとも1年、長ければ2~3年かかることもあります。離婚がどうなるか分からないというのは大きな精神的不安の原因になりますが、それが続くのも大きなストレスです。離婚が解決するまでの期間、それを乗り切るにはエネルギーがいるのです。疲れます。誰かの精神的援助が必要です。

離婚することのメリット

精神的に安定します。これだけ離婚数が多いのは、離婚にメリットがあるからです。離婚するかどうかの決断は、結局、これ以上夫婦として一緒に生活を続けていくことができるかどうかです。我慢できるならもう少し結婚生活を続けますし、これ以上我慢できないときは離婚を決断すべきです。離婚はそういう精神的不安定がピークに達したときにすることが多いのです。 離婚すると怒りや不満がおさまり精神的に安定します。それまでのそれなりに安定した生活を捨てて離婚し、経済的にも不安定な生活に突入するのは勇気のいることですが、私の経験では離婚した方は皆よろこんでいます。少なくとも離婚した女性は、スッキリとした表情に変わります(男性は気持ちのどこかに情のかけらが残るようです)。それまでの悩んでいた表情が一変します。それを見ていると、結婚生活がそれほど大きな精神的苦痛の発生源になってしまっていたことが分かります。

離婚するかどうかは、結婚生活をこのまま我慢して精神的な苦痛に耐え続けるか、いっそ離婚して落ち着くかという選択です。現在の結婚生活で起きているストレスがいつ終わるのか?終わるものなのか?それを見極めて判断しましょう。