自動車の未来は暗いか

2014年、出光がシェル石油を買収するというニュースが流れました。2030年には日本国内のガソリンの消費量が60%減るという予測があり、石油業界には業界再編の波が来るそうです。ガソリンの消費量が減るというのは、人口の減少、自動車を利用する人の減少、電気自動車などの普及・・・そういう色々な要因があるのでしょうが、日本のモータリーゼーションの発達を見てきた世代としては寂しい気がします。私が小さいときは(昭和30年代)、自家用車を持つ人は少なく、どこに行くにも電車かバスでした。木を使った電車の車両もありました。

車の性能は悪く(エンジンパワーがない、ブレーキは効かない、安定性がない)、安全性もない(車体は弱いし、フロントガラスも部分強化ガラスでした)、運転は疲れる、ガソリンだけはよく使う、そんな車ばかりで、道路はいつも渋滞、高速道路も整備されていませんでした。しかし、みんな車が好きでした。戦後の苦しい時代を生きてきた人たちにとって車は憧れの存在で、自分が自家用車を持てる時代が来るとは思ってもいなかったのです。車は高価でしたが、自分の車を買える様になったことが嬉しくて買っていたのです。自家用車は買い換えるたびに大きくなりました。また、自動車自体もどんどん良くなっていきました。高速道路も整備されました。

そんな時代から考えると、今は高性能の自動車が簡単に手に入り、道路も整備され、カーナビもETCもあり、自動車好きには天国です。せめて若い人たちがもっと自動車に興味をもってくれると嬉しいですね。自動車は、自由の象徴です。電車の様に線路の上だけを走るのではなく、どんな場所にでも、どんな時間でも、走って行ける。自分が行きたいところに行ける。中学生は自転車に乗り、高校生はバイクに乗り、大学生になると車を運転する。これは、成長にしたがって自分の活動範囲を拡大していく過程を象徴していました。そういう意味からすると、高校生がバイクに乗らなくなり、学生が車に乗らなくなるのは、ちょっと寂しいです。日本の得意な自動車産業も国内市場あってのことですから、国内市場の復活を期待します。

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