夫婦が別居した場合、別居中の生活費の分担を請求することができます。これを婚姻費用分担請求と言います。法律的には夫婦家族間の扶養義務が別居中の家族の生活を支える義務という形として現れるものです。
婚姻費用の金額は夫婦間の話合いで決まればいいのですが、合意できないときは家庭裁判所に調停を申し立てることになります。調停とは調停委員が申立人と相手方との間の合意を促し、合意できたときはそれを調停調書という家庭裁判所が作った正式な書類にする手続です。調停で申立人と相手方が合意できなかった場合は、調停から審判という手続に移ります。審判手続では申立人と相手方の両方から出された資料を元にして家庭裁判所が婚姻費用を強制的に決めてくれます。
では家庭裁判所が審判で婚姻費用を決める場合、いつからいつまでの婚姻費用を払うように決めてくれるのでしょうか?
婚姻費用支払の始期
婚姻費用の支払が終わるのは、離婚したときかまたは別居解消のときまです。
婚姻費用支払の終期
原則
婚姻費用の支払が始まるのは、原則として婚姻費用分担請求調停を家庭裁判所に申し立てた日の属する月からです。一カ月は初日の1日から終わりの30日(くらい)までありますがその何日に申し立てても申し立てた月からの支払を認める場合がほとんどです。したがって、婚姻費用調停の申立が月末に近いときは頑張ってその月のうちに申し立てた方が一カ月分得になります。調停申立の最大のネックは戸籍全部事項証明書(昔の戸籍謄本)の取得です。住所地に近い場所が本籍地であるときは戸籍全部事項証明書の取得も容易ですが、遠い実家の住所に夫婦の戸籍を作っていた場合などは早めに取得しておく必要があります。
例外
ただしこれには例外があります。調停を申立てた月よりも前の月に、相手に対して内容証明郵便や通常郵便、ファックスなどで婚姻費用の分担を請求した事実が明らかである場合はその月からの婚姻費用の支払を認めてくれます。
結局、別居したら早めに婚姻費用について合意して支払を始めてもらうのが一番良く、合意に手間取っているようならすぐに内容証明郵便などで婚姻費用の支払請求をしておくか調停を申し立ててしまうことです。この段階でなかなか合意ができないような場合はさっさと弁護士に相談しましょう。