離婚の経済的なリスク
離婚というのは男性にとっても女性にとっても人生の大きなリスクです。今回は離婚することの経済的なリスクについて考えてみましょう。離婚を考えるときに経済的なリスクはとても大きな問題なのです。
最大の経済的リスクは、離婚したら配偶者の収入に依存できなくなるということです。それまで夫の収入に頼っていた専業主婦の場合は離婚後は自分で収入を得て生活していかなくてはなりません。親が資産家でその援助を受けられるならいいのですが、そうでない場合は仕事を見つけて働く必要があります。問題は就労意欲があっても女性の再就職は条件が悪くなるということです。できるだけ給料の高いところ、できれば正社員、子供が熱を出して迎えに行かなければならないときは早退したい、そういう条件が増えれば増えるほど就職は難しくなってしまいます。 また、別居したり離婚してから短期間のうちにいい条件の仕事を探すのはさらに困難です。
対処法
仕事を続ける
一番いい方法は結婚や出産するときに仕事を辞めないことです。優秀な人材は転職で地位が上昇していきますが、普通の人にとっては新卒で就職した職場が一番いい職場だったというのが一般的です。結婚や出産をきっかけに仕事を辞めるということは、それからの人生を配偶者の収入一本にかけることになります。配偶者の仕事がうまくいけばいいですが、会社が倒産するかもしれません、不景気でリストラされるかもしれません、浮気や性格の不一致で離婚するかもしれません。そういう想定外のことが起きたときに備えることが大切なのです。つまりリスクヘッジ(リスクの回避)です。将来起こるかもしれない危険(離婚、夫の会社の倒産、リストラなど)に対して備えるという発想が大切です。これから現金で1000万円貯めるよりは会社で働き続ける方が簡単にできます。仕事を辞めないことは立派なリスクヘッジなのです。
早期に再就職しておく
既に仕事を辞めてしまっている場合は早く就職することです。離婚問題を顕在化させる前にできるだけいい職場を探して再就職しておきましょう。再就職は若ければ若いほどいい条件の職場を見つけやすいものです。また、共稼ぎになると家庭内の状況も変わりますし、自分に収入があるということは大きな自信につながります。かえって夫婦関係が好転する可能性もないとは言えません。離婚しようかと迷っているならまずは就職を勧めます。
資格の取得
再就職に備えて離婚する前に資格を取っておくことも有効な方法です。資格取得のための学校に行くことも離婚前の方が容易でしょう。
離婚後の生活の見直し
共稼ぎであれば離婚しても生活には困らないでしょうが、ダブルインカムではなくなりますから生活水準の低下は避けられません。贅沢な生活からは早めに切り変えておくことです。 これは贅沢とは言えませんが離婚すると家庭の収入水準が下がるので子供の教育にかけることができる金額が低下します。志望校を私立校から公立校へ変えるとか塾の見直しといった変化です。 収入が減るので使えるお金が減るのはすぐに理解できるのですが、忘れがちなのは生計が独立すると出費が増えることです。とくに家賃、光熱費、電話料金、食費、交通費、医療費、学費、教材費といった普段の生活費の他に、健康保険料、年金、税金などもかかってきます。こういう費用も前もって把握しておかないといけません。生命保険も本当に必要なものだけに限定した方がいいかもしれません。家具・電気製品・カーテン・寝具等の新規購入費用も馬鹿になりません。 離婚すると預貯金も半分になりますから、万一のための蓄えにも不安が残ります。
離婚後の養育費の負担
離婚時に仕事を持っている配偶者も、離婚によって子供と別居した場合は養育費を負担することになります。これは子供が20歳になるまで続く重い債務となります。将来、再婚したり子供を作るときに経済的な余裕が乏しいということです。 しかも離婚しても借金は減りません。住宅ローン、自動車ローンを組んでいたり、保証人になっている場合、その多額の債務が続くことになります。