離婚,家庭裁判所調査官の調査

家庭裁判所調査官による事実の調査

離婚の裁判のときに未成年の子供がいて、その親権者指定について争われていると、家庭裁判所が調査官による調査を行うことがあります。夫婦が離婚する場合に親権者を離婚する両親のどちらにすべきかというのは難しい判断です。そこで、子供を監護しているこれまでの現状が子供の福祉に適しているかどうか、どちらの親が親権者にふさわしいかを裁判官が判断するために必要なときは、調査官による調査が行われることがあります。親権者が争われた全ての事件で調査されるわけではありませんし、裁判の当事者が調査して欲しいと言ったら調査してくれるというものでもありません。

調査官が行う調査は、たとえば、子供の意向を把握する調査や監護の現状を把握する調査などです。そのためには、親に家庭裁判所に来てもらって話を聞いたり、 家庭訪問をしたり、子供と面接することもあります。家庭訪問してきた調査官は、子供と親やその他の家族との関係を観察しています。それは調査官が持っている心理学などの専門的な知識を利用して観察しているものです。

家庭裁判所調査官による子供の意向調査

とくに子供が15歳以上の場合に親権者指定の裁判をする場合には子供の陳述を聞かなければならないことになっていますし、たとえ子供が15歳未満であっても、大体、10歳以上であり、かつ、子供の意向を聴取することが可能で、聴取する必要性があると裁判官が判断した場合には調査官による子供の意向調査が行われることがあります。親権についての子供の意向調査をするかどうかは10歳という年齢が決定的な差というわけではなく、子供が親と心理的な距離を持つことができて両親を客観的にみることができるだけ成長しているかどうか等が判断材料となります。

しかし、子供が10歳~15歳ともなると、同居していなくても携帯電話やメールなどで直接連絡をとることが可能です。反対に、たとえ同居していても思春期になると親子間の意思疎通がスムーズにいかないこともよくあります。だから、こういう年齢になると、もうそれまでの親子関係が一番大きな影響力を持つので、 調査官調査の結果、ひいては親権者の問題はあまり大きくないのかもしれません。

なお、調査官は、子供の発達状況、生活状況、監護状況、親子の愛着関係や監護を補助してくれる人の関与状況などを調査した結果を裁判官に報告します。調査官調査が行われても判断は裁判官がするのです。