家庭裁判所の調停で実際にやること

家庭裁判所の調停

家庭に関する問題は家庭裁判所で解決されますから、離婚(夫婦関係調整)の調停は家庭裁判所で行われます。調停は管轄の家庭裁判所に申し立てる必要があります。離婚調停の管轄は住所地の管轄の家庭裁判所になります。既に別居している夫婦だと住所が違うので管轄裁判所も変わってしまいますが、原則として調停を申し立てる人間(申立人)ではなく、調停を申し立てられる人間(相手方)の住所地の管轄家庭裁判所になります。調停申し立てには戸籍謄本などが必要です。調停申し立ては郵送でもできます。

調停が受理されると

調停を申し立てて受理されると、その調停の事件番号が付きます。それ以後、裁判所に何か連絡をしたり問い合わせたりするときにはこの事件番号を言うことが必要になります。その後、その事件を担当する調停委員が決まると調停期日が指定されます。調停を申し立ててから何日で期日が指定されるかは一概には言いにくいものですが(事件の混み具合や休暇時期、異動時期など色々な要素があるので)、調停申立から3週間以内には呼び出しがあり、呼び出しから一カ月くらい先の調停期日を指定されると思っていたら、そんなに外れることはないでしょう。

調停期日

調停は申立人も相手方も同じ日の同じ時間に呼び出されるのが普通です。ですから、夫(妻)の暴力で別居しているようなときは一人で家庭裁判所に行かないようにするとか、調停から先に帰るなどの配慮が必要です。家庭裁判所に着いたら、指定されていた待合室に行きます。家庭裁判所には、申立人用の待合室と、相手方用の待合室が別々に用意されていますので、同じ部屋で配偶者と顔を合わせて待つことはありません。ただ、たとえば横浜家裁本庁ですと、各階ごとに待合室があるので、調停が行われる階を間違えないようにしないと、調停委員があなたを探し回ることになります。

一回目の調停期日

初回の調停では先に申立人が呼ばれます。調停委員から事情や気持ちを聞かれますので、それまでの事実経過やあなたの気持ちを話すことになります。調停のとき一般的には申立人と相手方が同じ部屋で話し合うことはありません。調停は、大きめのテーブル一つに数個のイスが置いてある普通の部屋で行われます。夫婦関係調整調停では、比較的年齢の高い男女二人組の調停委員が担当となります。申立人から話を聞いたら、相手方と交代です。交代のときも当事者が直接、顔を合わせないように配慮されます。横浜家庭裁判所では、30分ずつで交代して2回ずつ話を聞き、全部で2時間で調停を終わる予定であることが多いです。 調停の最後には、双方が次回の調停までに用意してくる資料や、気持ちを整理してくることが決まります。こういう手続を繰り返して、話合いによる解決を目指していきます。調停は何回やるという決まりはありません。極端な例ですと、申立人は絶対に離婚したい、相手方は絶対に離婚しないと言って、それぞれが全く妥協の余地がない場合だと、話合い解決は不可能として一回で調停が打ち切りになることもあります。

調停に準備する資料

離婚には双方が合意していて、財産分与が問題になるときは、双方の資産の金額を示す資料が必要になります。これは結婚後に夫婦共同で作り上げた財産が対象ですから、婚姻中であっても相続によって取得した財産は対象外となります。たとえば、預貯金、有価証券、解約返戻金のある貯蓄型の生命保険、学資保険、養老保険、不動産、自動車などが考えられます。そういうものの金額が分かる資料を準備しておく方がいいでしょう。 婚姻費用や養育費が問題になるときは、申立人と相手方、双方の収入金額を証明する源泉徴収票や給与明細の準備が必要になります。

調停に相手がこない場合

調停は相手方を強制的に呼び出すことができないものですから、調停の期日に相手方が出頭しないことがあります。急な仕事や病気のために出頭できないのなら仕方のないことですが、なかには申立人が調停を申し立てたこと自体が不満であったり、申立人の思うとおりにはしたくないなどの利己的な理由で出頭しないこともあります。相手方が出頭しないときは裁判所から電話して出来るだけ出頭するように説得してくれます。しかし、そういう努力をしてもどうしても相手方が出頭しないときは、調停成立の見込みなしとして手続が終了してしまうこともあります。なお、申立人は調停をして欲しいと言った張本人ですから、申立人の方が無断で調停に出頭しないという事態は想定されていません。