調停離婚の後にも離婚届は必要です

協議離婚は夫婦が離婚届に署名捺印して役所に届け出ることで成立します。協議離婚ではなく、家庭裁判所の調停で離婚したり、離婚裁判の判決で離婚が認められた場合、裁判上の和解で離婚が決まった場合、離婚という法律上の効果は調停成立のとき、判決確定のときや和解のときに直ちに発生します。家庭裁判所で離婚調停が成立した場合はその日に法律上は離婚したことになるのです。

離婚裁判をしてその裁判の中で和解したときも、和解成立の日に離婚成立となります。

しかし、裁判の離婚を認める判決の場合は、その判決が控訴期間が経過するなどして確定したときに離婚となります。判決日に直ちに離婚というわけにはいきません。

しかし、このように民法上は、調停や和解や判決によって離婚が成立していても、家庭裁判所が離婚したことを役所に連絡してくれるわけではありません。つまりそのままではいつになっても戸籍上は夫婦のままということになってしまいます。

そこで、法律上は離婚したという事実を戸籍に反映させるために離婚の届け出をすることが必要です。具体的には普通の協議離婚の場合に使うのとと同じ離婚届の用紙を役所に提出します。離婚届を出すので協議離婚と同じ様に感じますが、協議離婚の場合の離婚届の提出は離婚という法律上の効果を発生させるものであるのに対し、調停、判決、和解で離婚した後に出す離婚届の場合は、すでに離婚という法的な効果が発生しているものについて、離婚届という用紙を使って行う報告的な届け出となります。しかし、この報告を怠ると制裁があります。

調停や和解、判決で成立したときに届け出る離婚届には、証人の署名等は不要です。

また、離婚届の不受理届は、協議離婚の届け出を受け付けないという効果しかありませんので、不受理の届け出がなされてあっても関係なく離婚届を受け付けてもらえます。

この様に、調停・判決・和解で離婚が成立した後の離婚届の提出は、離婚が成立した日を含めて10日以内に行わなければいけません。裁判所が離婚届提出用の調停調書などをその日にくれるとは限らないので(普通、調停成立後2、3日はかかりますし、郵送してもらうとさらに遅くなります)、結構、時間がありません。10日はすぐにたってしまうので注意が必要です。なお、調停や和解で離婚した場合にどちらが離婚届を出すかは、その調停や和解の条文で決めておく事が多いです。普通は最初に離婚したいと調停を起こした者(申立人)や離婚したいと言って裁判を起こした者(原告)が、離婚届の提出を担当することが普通です。離婚判決の場合も、離婚したいと言っている原告が離婚届を出します。離婚したくないと言っていた被告の方が離婚届を出すわけもありませんが。

なお、調停や判決、和解で離婚が成立した多くの場合では、妻が離婚届を提出することになります。それは、結婚するときに夫が筆頭者になっている戸籍を作りその戸籍に妻が入っていることが多いため、離婚すると、妻は元の戸籍(初婚であれば親の戸籍)に戻るか、自分が筆頭者となる新しい戸籍を作るか、それを選択することになります。そうすると、それを選択する妻か離婚届を出した方が都合がいい場合が多いのです。

離婚するときはいまさら親の戸籍に戻りたくもないし、戸籍は住んでいる場所に近い方がなにかと便利ですので、新しい戸籍を現在の居住地で作ることが多いと思います。

私が経験した調停離婚では、相手方が離婚届を提出することも調停の条文上で決まっていたのですが、相手方が調停離婚の成立後、離婚届の提出を1年間ちかく失念していたという例がありました。これは極端な例ですがここまで遅延すると法律上の制裁は避けられないものと思います。