定期建物賃貸借
平成12年の法改正で、定期建物賃貸借という制度が生まれました。誕生して10年もたつのですが、あまり積極的に利用されていないため知らない方も多いと思います。今回は、この制度を紹介します。
(1)定期建物賃貸借が生まれた理由?
借家とか建物賃貸借契約というと、「建物」という言葉から、一棟の建物を貸したり借りたりする場合だけを意味する様に感じます。しかし、実はもっと幅広いものでアパートやマンションの一室を貸し借りする場合も含まれます。アパートの一室が「建物」の単位というわけです。普通の借家の場合、契約書には2年や3年といった契約期間が定められていますが、契約期間が過ぎたらすぐに契約期間が無効になるわけではありません。契約期間満了後も貸借人がそのまま使用し続け、家賃を払い続けていれば契約は更新したものとみなされます。大家さんは正当な事由がないと明け渡してもらうことができません。これは借家人保護が強くなると、その反面、大家さんとしては、間違いのない人にだけかすとか、大学生向けにすぐ回転する様なワンルームマンションだけをつくるというようなことが起きてきます。それはうまくないだろうということで出来たのが、定期建物賃貸制度です。この制度は借地借家法の38条以下に定められています。
(2)定期建物賃貸借にするとできることは?
契約書に定めた期間が経過すると、確実に部屋を明け渡してもらえるという効果があります。これは当たり前の様に感じられますが、定期建物賃貸借ではない場合には、正当事由がないと明け渡してもらえないので、大きな違いなのです。
(3)定期建物賃貸借にする為にはどうすればいい?
1.契約書
定期建物賃貸借契約であることを明示した書面によって契約することが必要です。(28条1項)契約書の表題は「定期建物賃貸借契約」とした方がいいし、契約の本文中に、「この契約が借地借家法第38条に基づく定期建物賃貸借契約である」ことを明示し、それにしたがった契約内容を規定する必要があります。当然ですが、契約の中に契約期間の定めを記載しなくてはいけません。
2.説明書面の交付と説明
契約を締結する前に賃借人に対して、「借地借家法第38条に基づく建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了すること」を記載した書面を交付して、説明することが必要です(28条2項)具体的には、説明用の書面を準備しておいてそれを1通交付して説明すると同時に、後日、「もらっていない」と言われるのを防ぐ為に、書面の控えに賃借人の署名や受領印をもらっておくことが必要です。もし、これを怠ると正当事由がないと解約できない普通の賃貸借契約になってしまいます(38条3項)
3.契約終了の通知
期間が1年以上の賃貸借である場合は、賃貸人が、期間満了の1年前から6ヶ月までの間に、貸借人に対し、「期間の満了により建物の賃貸借が終了する」旨の通知をすることが必要です(38条4項)もし、この通知を忘れてしまい、6ヶ月前を過ぎてから契約終了の通知した場合は、その遅れた通知から6ヶ月経過したときに契約が終了することになります。
(4)取り壊し予定建物の場合
法令または契約により取り壊し予定の建物の場合も、建物を取り壊すこととなるときに賃貸借が終了する旨を定めることができます(39条)この特約は、建物を取り壊すべき事由を記載した書面によって行わなければいけません(39条2項)
定期建物賃貸借契約を利用すると、大家さんは一定の期間に限定して部屋を貸すことが出来ます。万一、ちょっと変わった賃借人が入ってしまっても、契約期間を過ぎれば確実に明け渡してもらえます。貸借人としても、期間が最初から分かっていますから特別に不利なことはありません。むしろ、普通の賃貸借よりも条件が不利になる分、反対に、礼金、敷金、賃料額などで優遇されることも考えられ、かえって便利かもしれません。
しかし、これまでのところ、あまり普及しているようには見えません。その理由は、大家さんがこの制度をしらないということと、既存の借家契約には利用できないということがあるのでしょう。
(5)既存の契約を定期建物賃貸借に切り換えることができるか?
法改正前から続けている建物賃貸借契約の更新は、それ以前と同様となりましたので、契約更新のときに定期建物貸借契約に切り換えることができません。また「居住の用に供する建物の賃貸借」(普通の人が借りているマンション、アパートなどです。会社の事務所用の建物とは区別されます。)では、大家と賃貸人が合意しても、「同一の建物」に対する従来の借家契約を定期建物借家契約に切り換えることが、当分の間、出来なくなりました。
しかし、これは「同一の建物」でなければいいので、たとえば何室もあるアパートの101号室に住んでいた人が、同じアパートの102号室に引っ越しした上で、新たに定期建物賃貸借契約を締結することは可能です。部屋を変えることによって建物が同一でなくなるので可能になるのです。もっと詳しいことはご相談ください。
弁護士広告
電車内で法律事務所の広告を見ることが増えてきました。
テレビCMを流している事務所もあります。
こういった派手な広告を出している事務所が、一番、力を入れていたのが過払金返還請求でした。
以前、サラ金は利息制限法の利率を超えた高利で金を貸し、責務者はそれをきちんと払っていました。
しかし、最高裁が法律上の利率を超えた返済部分を元本の返済に充当することを認めたため、30%以上の金利だった時代には、大体、3~4年も返済を続けると完済になり、以後に返済した部分は返還しなくてはならなくなりました。
派手な広告を出すのは、こういう真面目な債務者を集め、サラ金に対し過払金返還請求をするためでした。
この仕事は定型的な作業なので、弁護士が自分でやらずに多数の客を集め、多数の事務員にやらせて莫大な利益を得ることが可能でした。
派手な広告はその為の集客手段でした。
しかし、今は無くなったので、過払金返還請求は無くなったので、過払金返還請求事件はすぐに枯渇します。
こういう単純作業しかしてこなかった法律事務所はそのとき、何を営業の中心に置くのでしょうか?
【映画紹介】K19(THE WIDOWMAKER)
2002年制作、ハリソン・フォード主演のアメリカ映画。
1961年に原子炉事故を起こしたソビエト潜水艦K19の物語で炉心溶解を防ぐために乗組員が防護服なしに原子炉に入り込み冷却水のパイプを接続します。
最悪の惨事は免れますが、作業にあたった乗組員はもちろん助かりません。
この映画はDVDで見ることができます。(日本ヘラルド映画、ポニーキャニオン)
第2種電気工事士
今年の初めに自宅の照明スイッチが壊れてしまいました。
ちょっと開けてみると、中に入っている小さなスイッチを交換すれば直りそうです。
ところが、電気の修理には第2種電気工事士という資格が必要でした。
そこで、自分で修理するため、慣れない電気の勉強を始め、電線・器具専用工具を買って技能試験対策を繰り返し、試験に合格することができました。
全くの別分野の勉強は面白く、住宅電気工事の知識も得ることができました。
いつか本業に役立つときがくるかもしれません・・・ないか。
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