離婚手続きと法律相談

離婚するまでの手続

離婚するためには3つの方法があります。

まず協議離婚。夫婦の話し合いで離婚に合意できれば協議離婚できます。協議離婚できない場合は直ちに裁判を起こすことはできません。

裁判の前に調停という裁判所で行う話し合いの手続きをする必要があります(調停前置主義と言われます)。調停ですることを調停離婚と呼びます。

調停でも合意できないときに初めて裁判を起こすことができます。これが裁判離婚です。

離婚のときに決めること

離婚するときには次の4点を決める必要があります。

親権・養育費

離婚したときに未成年の子供がいる場合は離婚後に夫婦のどちらが子供の親権を持つかを決める必要があります。

普通は親権者が子供を引き取り、離婚後も子供と一緒に生活していくことになります。 離婚の後に子供と別居することになる親(別居親・親権を持たない親)は養育費(子供の生活費)を分担する義務を負います。養育費を負担する期間は原則として子供が未成年(または20歳)になるまでです。

ただし、子供が高校卒業後に大学等の高等教育機関に進学する場合には、成年に達した後であっても高等教育機関を卒業するまでの期間の養育費も問題になります。

養育費の金額は両親の収入を裁判所が作った養育費算定表に当てはめて計算します。養育費はこれから支払う未来のことですから本当は未来の収入を基準にすればいいのでずがそれは不可能なので昨年の年収が基準とされます。

会社員であれば毎年1月にもらえる源泉徴収票や課税証明書などが資料となります。自営業者の場合は確定申告書などが資料になります。

専業主婦の場合は収入が0ですが、養育費を計算するときには収入0とは扱われません。普通の健康な人であれば少なくともパートとして年間120万円くらいの収入は得られるので、その程度の収入があるものとして扱われます。

また、子供が高校卒業後に進学する場合はその学費も問題になることがあります。高校まで進学することは現在の日本では当然と考えられていますが、高校卒業後に就職する人も多いので、高校からさらに上の大学や専門学校に進学することは一般的と言えません。

両親がどちらも大学を卒業しているかどうかなども事情として考慮されることがあります。

財産分与

婚姻期間中に夫婦が共同で形成した財産がある場合には、するときにそれを分割するために財産分与を決めることになります。

具体的には不動産、預貯金、有価証券、株式、解約返戻金のある生命保険などです。 不動産は住宅ローンが残っていても対象になり、その代わり住宅ローンの残額が負債というマイナスの資産として考慮されます。不動産価格を知るためには不動産仲介会社による査定が必要で、住宅ローン残高は返済計画表などが資料になります。 預貯金は残高証明や預金通帳のコピーが資料となります。

紙の通帳をやめて電子的な通帳にする人も多いですが、それは本当に困ることが多いです。紙の通帳であればその一部をコピーすればいいのですが、スマホの画面では過去の一定の日における残高を表示させることが難しい場合も多いのです。

しかも、調停や裁判では資料を紙で出すのでスマホ画面で見えていてもそれだけでは裁判所に提出する資料にならないのです。 有価証券や株式は、証券会社が発行した書面や残高の分かる画面のプリントなど。

生命保険は解約返戻金の額を保険会社に計算して書面で出してもらいます。 離婚から退職するまでの期間によっては退職金が財産分与の対象になることもあります。

離婚から退職金が支払われるまでの期間が10年とか12、13年であり、なおかつ勤務先が安定した企業や公務員の場合は退職金も財産分与の対象になるでしょう。

この場合は、財産分与の基準日に退職していたらいくら支払われたかという金額を勤務先に計算してもらって資料として出すことになります。

婚姻前からの財産や相続財産、親からの贈与などは財産分与の対象外です。 財産分与を決めるには、まず何年何月何日時点の財産を財産分与の対象にするかという基準日を決める必要があります。

この財産分与の基準日は原則として別居日となります。財産分与の前提は夫婦が協力して財産形成をしてきたということですが、それは同居中のことであり別居によってそのような協力関係はなくなったからです

慰謝料

離婚についてどちらかの配偶者(夫か妻)に責任がある場合は慰謝料が発生します。慰謝料の発生原因として多いのは不貞行為(浮気)です。

不貞行為による慰謝料を請求するにはその証拠が必要です。不貞の証拠集めは調査会社に依頼するのが一番確実です。ご希望があれば私が調査会社を紹介することも可能です。著しい暴力が離婚原因である場合も慰謝料の原因になるでしょう。

DVという主張もよく聞きますが、夫婦喧嘩に通常伴う程度のものだと慰謝料の原因にはならないでしょう。

DVという概念が軽い暴力にまでどんどん広がるにつれてその内容は空虚になっていくのです。DVという言葉だけでは意味がなく、事実が重要になるのです。 慰謝料の金額は、一般的には100万円から200万円の間が多いです。

ネット情報では数百万円の慰謝料を取ったとかよく出てきますが、そういうことは極めて稀でしょう。そもそも日本の裁判所は慰謝料(精神的苦痛に対する損害賠償)に対する評価がとても低いです。

慰謝料発生の原因になった事実の程度、悪質さは慰謝料の金額に大きく影響します。当事者の収入や社会的地位も影響します。話し合いや調停で慰謝料の金額について合意できなかったときに、その上乗せを目的に裁判を起こすことは大きな負担となります。

裁判では時間もかかるし本人が法廷に出て尋問を受けるのは相当にたいへんなのです。そういうことも考えると妥協も仕方ないということも多いです。

なお、性格の不一致のように離婚について夫婦のどちらにも責任があるとは言えない場合には慰謝料は発生しません。お互いに慰謝料のやりとりなしで離婚することになります

婚姻費用(生活費) また、離婚が正式に決まるまでの間に別居しているときは、別居期間中の婚姻費用(配偶者と子供の生活費)の分担を請求することもあります。

夫婦はお互いに扶助の義務を負うので別居中も、妻、夫、子の生活費を分担して負担する必要があるのです。

負担すべき婚姻費用の金額は、双方の収入を裁判所が作った姻費用算定表に当てはめて計算します。夫婦の収入については昨年の年収が基準になることなどは養育費の場合と同じです。

婚姻費用の期間は、離婚するまで、または別居を解消して同居するまでとなります。

年金分割

夫の年金が厚生年金や共済年金などの場合は離婚と同時に年金分割を決めておくことが出来ます。

そのためには年金事務所で年金分割のための情報通知書を取得しておく必要があります。まず年金事務所に電話して面会予約してから年金分割のための情報通知書の請求をします。

自営業者で夫婦の双方が国民年金の場合は年金分割の対象外になります。

なお、一般的に企業年金と呼ばれるものは公的年金ではなく預金などと同じ性質のものですので年金分割の対象ではなく財産分与の対象になります。

子供との面接交渉

離婚するときは離婚後の別居親と子供との面接交渉についても決めます。通常は一カ月に一回程度として具体的な日程は当事者間で連絡することになります。

ただし、夫婦間の子供との面会について厳しく対立していた場合には、たとえば「第3日曜日の何時から何時まで」などと具体的に決めることもあります。

同居中は毎日子供に会えたし予定を合わせるのも簡単だったので一カ月に一回は少ないように思えますが、別居して全く別々の生活が始まると面会のための予定合わせはとても難しくなってしまうものなのです。

双方の間に入って面会日の調整をすることもありますが、子供も幼稚園やら学校やらの予定があって調整が難しいのです。 このように離婚は多くの難しい問題が同時に発生するので早く弁護士に相談することが大切です。

離婚したい気持ちになったら

結婚生活をしていれば夫婦喧嘩もしますし、「もう別れたい。」と思うこともあるでしょう。そういうときは、本当に離婚したいのか?

これ以上、配偶者(夫、妻)と一緒に生活することはできないのか?夫婦のお互いの努力でやり直しが可能かどうか?離婚はこれからの一生を左右する重大なことですから慎重に考えましょう。

そして結婚生活を続けていくことは無理だと思ったら、あるいは今は我慢できてもいずれは離婚になりそうだと思ったら弁護士に相談してください。

手続のどんな段階であっても弁護士に相談することは出来ますが、できるだけ早い時期から相談していた方が最終的にいい結果を生むことが多いものです。

女性が離婚の相談に来られるときは離婚を決心していることがほとんどです。

そして、女性は一度、離婚すると決めると二度と考えを変えません。仮に一度は離婚を思い止まっても2、3年後にはやっぱり離婚になります。

女性が離婚と言い出したら離婚前提でそ後のできるだけ穏やかにつきあえるようにした方がいいでしょう。

しかし、男性の場合は、一度は離婚したいと思っても翻意することが絶対にないとは言い切れません。稀ではありますが。 離婚したいと思い始めたら早めに弁護士に相談しておきましょう。

離婚して欲しいと言われたら

なぜ離婚したいのか、その理由をきちんと聞きましょう。そのときは聞くだけで反論してはいけません(反論しても喧嘩になるだけですから)。

ただ、相手の言い分を聞いて後でゆっくりと考え、自分の頭が冷えてからこちらの言い分を伝えましょう。夫婦は長い間、一緒に生活していたのでお互いに甘えがあります。「分かってくれるだろう」という甘えがすれ違いの一つの原因になっていることが多いようです。

しかし、話合いしても解決に向かわないときは弁護士に相談してください。先の見通しのつかないときはとても不安が強くなり精神衛生上良くありません。

弁護士はその経験から見通しをつけてくれます。

離婚を弁護士に依頼すると何をしてくれますか

離婚の話合い

離婚の話合いでは依頼者の代理人として弁護士が相手(配偶者本人またはその代理人である弁護士)と交渉をします。

弁護士を通した交渉が始まった後は、当事者間で直接、離婚の話をすることは避けていただき、弁護士を通してのみ話合いを進めていきます。

離婚と関係しない日常的なことは当事者どうしで話してかまいません。

離婚調停(家庭裁判所)

離婚調停では、ご本人と一緒に家庭裁判所の調停に出席し、依頼者の方の言い分や主張ができるだけ通るように(相手に認めさせるために)代弁することもありますし、ご本人が直接お話しすることがスムーズになるように努めます。

裁判は弁護士だけが出席するのが通常ですが、調停では本人にもできるだけ出席していただきます。

離婚において法的に重要な事柄を整理して主張したり、有利に進めるための書面を作成し証拠を整理して提出します。離婚調停の場では調停委員を説得し、調停委員を通して相手を説得することを目指します。

調停は話し合いだし調停委員会が法的な条件を出してくれるので経験の少ない若い弁護士でも可能ですがそれでいいと思っている弁護士だとうまく解決できない場合もあります。弁護士経験は影響します。

離婚裁判

離婚裁判では、代理人として依頼者の代わりに裁判に出頭し、法律的に有利な事実を指摘して、訴状、準備書面等の書面を作成し(裁判はまず書面を中心に進んでいきます)、証拠書類を整理して裁判に提出します。

相手の主張や反論に対してはさらに書面で再反論して裁判は進んでいきます。そして争点が明確になり書面による証拠も出した後に、当事者尋問(原告尋問、被告尋問)を行います。

調停では調停の場を通じて相手方(配偶者)を説得することが目的でしたが、裁判では裁判官を説得することが重要になります。裁判官が注目する点(事実)は何かということを理解していないと弁護士は務まりません。

ご本人が重要だと思っている事柄が法律的にも重要であるとは限らないのです。離婚裁判を有利に進めるためには法律的に重要な事実を弁護士が整理して主張することが非常に重要なのです。

離婚法律相談

離婚は特別なことではありません

過去の日本の統計を調べると、結婚した夫婦の3組に1組は離婚していることになります。

年間の婚姻件数と離婚件数を比較すると何年、遡っても離婚件数は婚姻件数の約3分の1なのです。結婚から離婚までの年数はいろいろですが今の日本では離婚は決して珍しいことではありません。離婚しようと考えることは珍しいことではないのです。

離婚に関する色々な法律問題を私のブログに詳しく書いてあります。とくに最近の裁判所の判例動向についてはおそらく私のブログが一番詳しいでしょう。

ただし、ブログに書いてあることは離婚の一般論で、誰にでも当てはまるわけではありません。ブログやネット上の離婚に関する情報だけで判断することなく必ず弁護士の法律相談を受けてください。

法律相談のお申し込みをお待ちしています。

離婚は早めの相談が大切

離婚すると、引っ越し、転校、就職、いろいろな手続があり、それまでのある程度安定していた生活はとても不安定な生活に変わります。

離婚してこれまでの生活を変えることにはとても大きな不安が伴います。

嫌な毎日であってもそれまでと同じ生活を続ける方が楽で(まだ予測がつきますから)、変化するには勇気が必要なのです。

離婚した方がいいのかどうか決心がつかない、迷い、不安なままに生活を続けるのも疲れます。悩んだら早めに弁護士の法律相談を受けて自分のことを話した方が心が落ち着きます。

話すことで問題点が見えてくることもあります。離婚を考えるようになったら、すぐに法律相談を受けることをお勧めします。

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