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家裁の移送決定が取り消された例

投稿日: 2016年8月28日  | カテゴリ: 離婚,その他の問題

家裁の管轄,移送が取り消された例

 裁判というのは好きな裁判所で起こせるわけではなく法律で管轄の裁判所が決まっています。離婚などの家事調停事件では,相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所と決められています(家事事件手続法245条)。 管轄のない裁判所に調停が申し立てられたときは管轄裁判所に移送されるのが原則ですが,例外的に事件を処理するために特に必要があると認められるときは職権で自ら処理することができます(家事事件手続法9条)。これを自庁処理といいます。

仙台高裁平成26年11月28日決定

 仙台家庭裁判所がある調停申立を管轄違いとしてさいたま家庭裁判所に移送したことに対し、仙台の高等裁判所は移送したことが違法である,つまり自庁処理すべきだとして取り消した例があります。

事案

女性と男性が婚姻しないまま交際し女性は子供を出産しました。男性も女性も当時は仙台家庭裁判所の管轄地域内に住んでいましたが、後に男性は埼玉県に転居しました。女性は認知と出産費用の負担を男性に求めていました。  男性は女性を相手方にして,仙台家庭裁判所に男女関係解消調停事件を申し立てました。その調停事件で男性は認知や出産費用の負担について協議するためには親子関係を確認することが先決であるからとDNA鑑定を希望し,女性も鑑定に応じる意向でした。  そういう状況で今度は女性が,仙台家庭裁判所に対し,男性を相手方として,認知を求める調停と婚約不履行を理由とする慰謝料調停を申し立てました。

女性の事情

女性はこの二つの調停を申し立てるときに,仙台家庭裁判所で調停を行うべきとする上申書を家庭裁判所に出しました。その上申書には,男女関係解消調停事件が既に仙台家庭裁判所に係属していること,その調停事件で男性がDNA鑑定をしたいと希望したので女性が調停を申し立てたこと,男女関係解消調停事件と慰謝料調停事件は事実関係がほぼ重なること,子は当時七カ月で女性がさいたま家庭裁判所に出頭するのは身体的にも経済的にも負担であることなどが書かれていました。

男性の事情

男性は,仙台家庭裁判所に対し,最近足の手術をしたので次の調停には出ない,両方の調停を仙台家庭裁判所で行うことには同意しない,足の手術をしたばかりだし依頼した弁護士の移動に都合がいいのでさいたま家庭裁判所で調停を行うよう希望する等伝えました。  そういう状況で仙台家庭裁判所は両方の調停をさいたま家庭裁判所に移送する決定をしました。  その移送決定に対し女性が即時抗告し,仙台高裁は女性の主張を認めました。

仙台高等裁判所決定

「法は自庁処理をすべきかの判断については,原則的な管轄裁判所を相手方の住所地とした法の趣旨を踏まえつつ,当該事件の事案の内容,当該事件が管轄権のない裁判所に申し立てられた経緯等を総合的に考慮して行われる家庭裁判所の合理的な裁量に委ねていると解される。  そうすると,当該事件の事案の内容や当該事件が管轄権のない裁判所に申し立てられた経緯等によれば自庁処理すべき特段の必要があることが明らかであるにもかかわらず,当該家事事件の申立があった裁判所がこれを管轄裁判所に移送した場合には,その移送の決定は,裁量の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法なものとなるというべきである。」

仙台高裁はこのような一般論を展開しました。そして,女性には生後一年を経過しない乳児がいるからさいたま家庭裁判所に出頭するには相当の困難があるのに対し,男性はもともと自分から仙台家庭裁判所に調停を申し立てていて,女性からの調停申立がなけれは今後も仙台家庭裁判所に出頭することが予定されていたなどの事情から, 「本件調停は,事案の内容,調停申立の経緯及び当事者の出頭の確保の観点に照らし,原裁判所で行う方が当事者間の公平に資する上に,話合いがまとまりやすいと認められるから,法245条1項の趣旨に照らし,これを原則的な管轄裁判所であるさいたま家庭裁判所で行う必要性に乏しく,むしろこれを原裁判所において自庁処理すべき特段の必要があることが明らかに認められる。」 として,この事件をさいたま家庭裁判所に移送したのは違法であると取り消しました。

この事件の事情を考えれば高裁の決定はもっともなことと思われます。既に仙台家庭裁判所に調停が係属しているのに,新たに申し立てられた調停の本来の管轄地を重視したのは理解しがたいところです。


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