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精神病を理由とした離婚の請求

投稿日: 2016年3月21日  | カテゴリ: 離婚,その他の問題

 民法は770条1項に離婚原因を規定しています。その4号に「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」とあります。これはどういう場合に認められるのでしょうか。

回復の見込みがない強度の精神病

 「回復の見込みがない強度の精神病」というのは、夫婦としての精神的交流が期待できない程度の重い精神障害であり、ある程度の期間、継続的な治療が必要な場合です。ただし、配偶者が重い精神病であるだけでは離婚が認められません。昭和33年の最高裁判例が、「精神病離婚」を決めるこの条文の適用について大きく制限を加えているのです。

昭和33年最高裁判例

 昭和33年最高裁判決は、「民法は単に夫婦の一方が不治の精神病にかかった一事をもって直ちに離婚訴訟を理由ありとするものと解すべきではなく、たとえかかる場合においても、諸般の事情を考慮し、病者の今後の療養、生活等についてできるかぎりの具体的方途を講じ、ある程度において、前途にその方途の見込みのついた上でなければ、ただちに婚姻関係を廃絶することは不相当と認めて、離婚の請求は許さない法意と解すべきである。」と言って、民法第770条の2項を使って離婚請求を許しませんでした(最高裁昭和33年7月25日)。

 770条2項というのは、「裁判所は前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。」という条文です。最高裁はこの条文を使って配偶者が不時の精神病であったにかかわらず離婚を認めなかったのです。

 この判例の後12年経った昭和45年に、最高裁は条文の解釈そのものは変更しなかったものの、重度の精神病を理由とする離婚請求を認める判決を出しました。昭和45年判例は、4号に基づく離婚を認めた初の最高裁判決で事例的な意義があります。

昭和45年最高裁判例

  昭和45年の事案で最高裁は次の判断を示しました。 「妻の実家は、夫が支出をしなければ妻の療養費に事欠く様な資産状態ではなく、他方、夫は、妻のため十分な療養費を支出できる程に生活に余裕はないにもかかわらず、妻の過去の療養費については、昭和40年4月5日、妻の父親(妻は禁治産宣告を受けており父親はその後見人)との間で、妻が発病した昭和33年4月6日以降の入院費、治療費及び雑費として金30万円を妻の父親に分割して支払う旨の示談をし、即日15万円を支払、残額をも昭和41年1月末日までの間に約定どおり全額支払い、妻の父親においても異議無くこれを受領しており、その将来の療養費については、本訴が第2審に係属してから後裁判所の試みた和解において、自己の資力で可能な範囲の支払をなす意思のあることを表明しており、夫と妻との間の長女は夫が出生当時から引き続き養育していることは、原審の適法に確定したところである。そして、これら諸般の事情派、前記判例にいう婚姻関係の廃絶を不相当として離婚の請求を許すべきでないとの離婚障害事由の不存在を意味し、右諸般の事情その他原審のにんていじた一切の事情を斟酌考慮しても、前示妻の病状にかかわらず、夫と妻の婚姻の継続を相当と認める場合にはあたらないものというべきである。」

離婚のための「具体的方途」とは

  昭和33年判例は、配偶者が回復の見込みのない精神病というだけでは離婚を認めず、離婚するためには「配偶者の今後の療養・生活の具体的方途」が必要だとしました。つまり精神病を理由として離婚するためには「具体的方途」が必要てのです。

この具体的方途の内容としては、療養費という金銭負担と看護態勢という現実面が重要です。この二つの点をクリヤーにすることが離婚のための大きな問題になります。


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