早い法律相談の必要性
離婚の法律相談は早めが吉です
弁護士事務所に法律相談に来られる方の多くは、離婚したいと考え始めた方か、その反対に夫か妻から離婚したいと言われた方です。つまり「離婚」という問題が目の前にある方です。その段階で弁護士の法律相談を受けるのは現代では必須という感じがしますが、本当はもっと早い段階で相談だけは受けておいた方が良い場合が多いです。
ケース1 離婚原因はあるのに証拠がない
それまでの結婚生活のお話を聞いていると離婚原因となりうる状態だと思うのですがその証拠がない場合がよくあります。たとえば典型的な離婚原因である不貞行為についても、配偶者が浮気を認めたというけれども口頭で認めただけでは後で否定してくる場合もあります。それが二人きりの場での会話ならなおさらです。
そして性格の不一致、婚姻関係の破綻といった少し抽象的な離婚原因の場合は、長期間繰り返された、その一つ一つはそれほど大したことではないエピソードを一つ一つ丁寧に積み上げて離婚裁判で立証していく必要があります。ところが、その証拠がない場合が多いのです。日常の出来事ばかりなので証拠とすることに思いもよらないことも多く話しか残っていないのです。それでは裁判官の理解を得ることが難しくなります。
ケース2 配偶者の財産・収入が分からない
離婚を言ってくる人は実は数年前から離婚に向けて準備をしていることがよくあります。財産分与に備えて自分名義の財産を何年もかけて隠している人もいます。
数年前のことですと裁判所も証拠収集に消極的なことが多く結局、財産の隠匿が成功してしまいます。そこで将来、離婚を言い出されそうな人はその段階でそれなりの準備をしていくべきです。財産分与の対象となる財産や養育費の根拠となる配偶者の収入額は同居生活しているときはまだ把握しやすいですが別居すると把握できなくなります。
ケース3 親権・監護実態の証拠がない
離婚するときに未成年者の子がいるときは親権者を決めることになります。子どもが小さいときは基本的に母親が親権の点で有利ですが、それも母親がきちんとその役割を果たしてきたことが前提です。また不利な立場にいる父親が親権を争うには少なくとも父親としてきちんと子どもの養育、監護に努めてきたことが重要です。どちらにせよそれまで子どもとどう関わってきたかが大切なことになります。そういう証拠は普段の子どもとの生活そのものなので、結局日常生活にすぎずあまり証拠にしようという意識もなく必要なときには何も無いということになりがちです。
このように離婚問題が目の前で発生したときには既に証拠がないという事態に陥ることがよくあります。そこで、将来は離婚したいと思っている人だけでなく、夫婦間に軋轢があり将来は離婚を言い出されそうな予感がする場合にはできるだけ早く相談だけでも受けておくことがいいと思います。備えあれば憂いなしということです。早い準備は何事にもいい結果をもたらします。
