財産分与請求したら反対に払えという審判が出る可能性

離婚したときは財産分与の請求ができます。
離婚した後に、元の配偶者に対して財産分与を請求して家庭裁判所の審判になったけれども、その審判手続きで双方の分与対象になる財産を調べたところ、申立人の方が反対に相手方に対して財産分与を払う立場だったことが分かった場合、その審判手続きはどうなるでしょうか。
注 申立人というのは調停や審判を申し立てた人のことで、相手方とはその申し立てをされた方の人のことです。
普通の裁判の考え方だと、財産分与の請求を申し立てたのにその申立人に分与すべき財産がなかったときは、裁判ならば原告の請求を棄却する、つまり申立人の請求が認められないという結論で終わりです。原告が金を払えと起こした裁判で反対に原告が金を払えなどという判決が出ることはありません。裁判とは原告の請求に理由があるかどうかを判断するだけのものだからです。
ところが、最高裁令和3年10月28日は、申立人が財産を分与して欲しいと言って申し立てた審判の手続きで、反対に申立人が相手方に財産分与を払えという審判を出すことができると認めました。
ただし、一つ条件があって、相手方がその審判において自分の方が財産分与を受けるべきなので申立人に対して給付を求める旨を主張していることが必要です。
つまり、相手方の方では申立人から財産分与をもらいたいと思っていない場合にまでそういう審判をする必要はないから、相手方への給付審判は出しませんということになります。
この最高裁があるので、今後は財産分与を請求したのに反対に払うことになった、
ということが起こることになります。ただ、実際はそういう場合は既に相手方から財産分与請求をされていることが多いのであまり問題になることは少ないだろうと思います。