慰謝料1500万円を認めた高裁判例があります(東京高裁平成元年(1989年)11月22日判決)。これは別居期間が36年になるという少し特殊な事案で、夫は家を出て不貞相手の女と別居生活を続けて子供も作り、会社を経営して安定した生活を送っていました。妻の方は実兄の家の一部を借りて住んでおり判決当時は無職でした。判決は妻の側の経済的な不安を解決するためにとして、慰謝料1500万円、財産分与1000万円を認めました。この判決の後に和解で解決したようです。
離婚に伴う慰謝料は一般的には100~150万円くらい、100万以下だと少ないと感じることが多いですが、といって200万円を越える判決は少ないのが裁判の実情です(不貞等の慰謝料発生原因があることが前提です)。この慰謝料の金額は誰もが「少なすぎる。」と言います。裁判官の感覚は市民の感覚から大きく離れているのです。慰謝料の金額は上の例のように婚姻期間の長短や慰謝料を払う方の資力の大きさは大きな要素になります。