離婚に伴う慰謝料請求権が履行遅滞になる時期

離婚に伴う慰謝料請求権が履行遅滞になる時期に関する最高裁判例

最高裁令和4年1月28日判決は、離婚に伴う慰謝料請求権が履行遅滞になる時期について判断しました。
履行遅滞になる時期がなぜ問題になるかというと、金銭支払義務というのは遅滞になったときから遅延損害金を支払わなければいけないからです。そして民法改正により以前は全て年5パーセントだった遅延損害金の利率が、ある時期から3パーセントになったので争点になりました。
最高裁の結論
最高裁は「離婚伴う慰謝料として夫婦の一方が負担する損害賠償債務は、離婚の成立時に遅滞に陥る。」としました。
離婚の成立時とは?
離婚の成立時とは、協議離婚のときは離婚届を役所に提出(管轄の役所が受理したとき)したとき、調停離婚のときは調停が成立したとき(調停成立のその当日のことです)、裁判離婚の場合は離婚を認める判決が確定したときとなります。
つまり離婚裁判を起こして第一審判決出てその判決が離婚を認めていても、控訴期間満了するまでは確定していませんし、控訴されたときはまだ確定していないので遅滞にはなっていないということになります。控訴審判決が出たときは上告期間が満了したときに確定し、離婚の効果が発生します。

判決で離婚した後にも役所に離婚届を出しますがこれは報告的な届け出であり離婚の成立時とは違います。