離婚が成立するまでは扶養義務があるので婚姻費用分担の問題が発生します。そして、別居している夫婦の間で婚姻費用の請求をするときは、早く家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申し立てた方が、結果的に経済的に有利になります。しかし、婚姻費用分担調停の申立をしないままに離婚することになったときは、財産分与の中で未払い婚姻費用の清算を求めることも可能です。財産分与のところでも書きましたが、財産分与は、婚姻中に夫婦で形成した財産の清算という本来の役割の他に、慰謝料的要素や離婚後の扶養的要素なども含めて考えることができます。これと同じように、婚姻継続中の過去の婚姻費用の分担は、財産分与について定めた民法768条の「その他一切の事情」に含まれるので、財産分与で清算を求めることも可能になります。しかし、これは最後の手段ですから、やはり早めに申立をする方がいいでしょう。
通常は、既に別居している場合は、離婚調停(夫婦関係調整調停)の申立と同時に婚姻費用分担調停も申し立てることが多いのですが、事情により、また依頼人の方の考えにもより、婚姻費用分担調停だけを申し立てることも良くあります。離婚事件と一言で言ってもそれぞれ事情は全く異なるものです。事情が違えば、手続や方法も変わってきます。どんな事件でも同じ方法ですむことはありません。当事務所では、一つ一つの事案に応じて最も適切な方法を選択していきます。できるだけ早い時期の方が選択できる方法の幅が広いので適切な方法を選びやすくなります。ずきれば、裁判よりは調停や話合いの段階で相談を受けたり受任したいところです。弁護士に早めに相談することがいい結果を生みやすいのでお勧めしているのです。