財産分与の分与割合が5対5でない場合
婚姻中に形成された財産を離婚時に分ける財産分与は,離婚事件の多くの場合で5対5,要するに半々で解決されています。妻の貢献度はたとえ専業主婦であったとしても(夫だけが働いて収入を得ていたとしても家事や育児で貢献しているので)5割とされるのが通常なのです。
ただし,夫が普通ではない特別の技術や能力等によって通常以上の大きな財産形成をした場合は半々ではなく夫の方が多く修正されることがあります。夫が事業でとくに成功したとか,病院や歯科医院の経営等で大きな資産を形成した場合には半々ではなく6対4などに修正されることがあります。
結婚して間もなく離婚したように婚姻期間が短い場合はそもそも婚姻中に形成された財産がないので,財産分与自体がほとんど問題になりません。
そこで,財産分与の割合が問題になるのは,婚姻してから離婚までに相当の期間が経過している場合となります。そして,財産分与の割合が問題になるのは,財産が多額にあり,かつ,財産が多額になった理由が夫(または妻)の特別の技術や能力等による場合です。もちろん妻の方が特別の技術や能力で財産を残していれば反対になります。なお,相続で取得した財産はいくら多額であってもそもそも財産分与の対象になりません。
抽象的にはこういうことになるのですが,財産分与は夫婦で二分の一というのは相当に広範に適用されているのが現状です。国が発表している日本の国民の世代別平均年収を考えると,30歳代は500万円代,40歳代は600万円代,50歳代が最も高くて700万円を越えます。この平均年収よりも年収が多いというだけではなかなか財産分与は二分の一という原則を崩せません。どれだけ多ければいいのかと聞かれてもケースバイケースなので回答できません。実際の事件によって一つ一つ違うので相談してください。一般的な収入よりも相当に多額の収入を長期間得ていて、それによって一般よりも多くの資産を形成したこと,多額の資産形成について配偶者に特別の貢献がなかったことなど多くの事情を総合して主張,立証していくことになります。
このように財産分与はほとんどの場合は半分ずつとなるのですが,特別の事情があるときは修正される可能性があります。そういう可能性があると思うときは当事務所の法律相談を受けてください。